元農水省事務次官長男殺害事件の裁判が行われました。この事件が起きた時本当に驚きました。多くは生活苦の事件が多い中、こんなエリート一家でひきこもりで殺人?と。お金があるのに?と貧乏な私には本当に意外でしたが、エリートだからこその圧力やプライドが大きかったのかなと思いました。
事件自体についてはワイドショーなどが大嫌いなので概要しか分かりませんが、私には被害者の息子さんの屈折した気持ちと叫びが凄く分かります…。父親擁護が多く絶対リアルでは言えないので、ここで農水省事務次官の事件を通して引きこもり家族の支援について個人的に思ったことを書いていきます。(加害者の父親に厳しい意見を多く書いているのでご注意ください)
引用元:Free-PhotosによるPixabayからの画像
農水省事務次官の事件について息子さんに共感する理由
農水省事務次官の事件は息子さんを殺害した父親が懲役6年に決まりました。ネットでも予想通り父親は寄り添っていたのに、父親可哀想、あんな息子ならそりゃ嫌になるなど父親を擁護する意見が圧倒的でした。
多分息子さんが引きこもりや無職(と言っても1人暮らしをずっとしていたのですが)でなければ反応はまた違ったのでしょうが、被害者が働いていない時点で働いていない奴は人間ではない見方が強い日本では一気に息子さん糾弾になったのでしょう。ですが私にはどうしても息子さんの叫びや劣等感などの気持ちが分かってしまいます。
学校のいじめという被害者にしかわからない苦痛を親が支えなかった
息子さんは中高一貫校に進学するもいじめにあい、家庭内暴力に。いじめは被害者にしかわからない苦痛で、私自身いじめやハラスメント関係は100%加害者が悪いと思います。この時点で父親は学校に行かせることを強要しました。ここで息子さんは親への反発心が強くなったのではないでしょうか。
未成年の時にいじめられたら真っ先に親に共感してもらい助けてもらいたいはずなのに、突き放された絶望は計り知れないのではないでしょう。私も中高でいじめにあい家族には分かってもらえなかったので痛いほど息子さんの気持ちが分かります。
以前書いた学校のいじめ関係の記事はこちらです。


1人暮らしはいいけどその間のメールが酷い
専門学校と大学へ複数行った後、父親のコネで病院へ2年修飾語無職のまま1人暮らし。丁度就職氷河期ですし、エリート家族でもコネで入るしかなかったんでしょう。反発している父親のコネで就職というのも耐え難かったはずです。それなら就職しなければいいと思うかもしれませんが、嫌でも親に頼らざるを得ない、自分で動く気力がなかったかもしれません。不満のまま長く続けられるはずもなく2年で退職。
以前書いた就職氷河期世代の苦痛の記事はこちらです。

ここで実家ではなく1人暮らしだったのはいいと思います。息子さんにとってはとにかくエリート家系が負担だったはずですから。だから距離を置くのは良かったはずなのに父親のメールがちょっと…指示だけが頻繁に。これなら全く連絡しない方がよほどましだったのでは。下僕や奴隷のようですよ。ゴミだしとか…ゴミは俺のことか!?とか卑屈に取ってしまったのでは…。
当然息子さんもごく短い言葉で返すだけ。俺は一体何なんだろう…という絶望が増したんでしょう。
専門学校やコミケ参加も親が口を出しては逆効果
父親で更にわからない対処が、専門学校へアニメ会社の就職が出来ない理由を聞きに行ったり、挙句コミケに父親も参加って…。正直専門学校やコミケは息子さん自由にやりたかったんじゃないですか?それすら父親がしゃしゃり出てくる。私もアニメの専門学校やコミケ参加しましたが、そこで親に口出しされたらげんなり来ます。小さい子供の授業参観かよ!って感じで。
アニメ会社に就職できなかったのもみんながみんな希望の会社に入れるわけないし、コミケ参加も親が監視しているようでは本人が楽しみたいと思ったとしても無理でしょう。父親は世間体や親の圧力で息子さんに接していたとしか思えません。
引きこもりは家族からはなして1人で暮らし同じ立場の人たちの場があるのが理想
凄く嫌な言葉の中にいい大人が引きこもりや無職で親が嫌になるの分かる、いつまで面倒見ればいいのとか親よりの言葉がありますが、親が勝手に産んでおいて自分の思いどおりにならないから嫌になって放り出すのと同じ言葉です。
いい大人と言いますが皆そんなにご立派な人生を歩んでいるのでしょうか?常に正しく世間に恥ずかしくないリア充な子供だけが欲しいと言うなら親になる資格なんてありませんよ。子供にとっては頼んでないのに産まされていじめられる学校に無理やり行かされて、ごみのように扱われて監視続きの挙句に滅多ざしで殺された…。長男さんの号泣の叫びが本音だったんでしょうね。
父親の世代は殆どの人が順調に生きられた時代です。どうしても自分と親を比べてしまうでしょう。ましてエリート一家だから余計に劣等感が半端ないと思います。
引きこもり支援と言うと家族と共にとか家族が寄り添うとかが多くの人が言いますが、その家族がお互いに圧力でストレスになります。寄り添うと言っても必ず限界があり、はれ者扱いのように扱われる当人もますます荒みます。
引きこもりは家がいいから引きこもるのではなく、家以上に外が怖いからひきこもる方が多いです。だから引きこもりを支援するなら逆に家族と離して、出来れば同じ境遇の引きこもりの人たちと集える場所、もっと言うなら働ける場所を作るのが最良と思います。どんな場合でも荒んでいる時にはアドバイスではなく何より共感が欲しいものです。1番共感してもらえるのは同じ立場の人たちですから。
まとめ
事件の当事者ではないし本当に本人にしか分からないのであくまで個人的に述べました。ただ引きこもりにしろなんにしろ家族神話が限界と思います。家族そのものが追い詰めている可能性が多い事件が多いです。
他のところへサポートに相談と言ってもそのサポート機関がはっきり言って信用できない所ばかり。更に傷ついたり何も進展しなかったり、そもそもサポートや支援という時点で上から目線が半端なく感じてしまいます。
今回の事件も確かに娘さんを失っていたり奥さんはうつ病と父親には辛い状況でしたが、それでも学校のいじめの段階で息子さんに優しく接することができたのでは?結局エリート目線のまま接していたから息子さんがこじらせてしまったのではないでしょうか…。
だから引きこもりから脱却するとしたらあえて家族と引き離して、仲間達とともに生活するのが1番いいと思います。家族が理解者と言う幻想がある限り引きこもりの本当のサポートは難しいかなと思いました。
息子さんとは就職氷河期世代、学校のいじめ、父親は順風満帆で高圧的な性格、仕事が続かない、アニメ系の専門学校でコミケ参加と共通点が多いことも身につまされます…。この事件で思ったことを率直に述べてみました。