こどものおもちゃ 小花美穂 全10巻 りぼんマスコットコミックスについてのあらすじと感想とまとめの記事です。
この記事はネタバレありなので閲覧にご注意ください。
こどものおもちゃ 全10巻のあらすじ
女優の卵で小学校6年生の倉田紗南のクラスは今問題を抱えている。それはクラスのボス羽山秋人が率いる男子による先生いびりや女子へのいじめ。
羽山の高所恐怖症の弱点を知った紗南は勝負を挑むも敗北してしまう。
他の先生の弱みを握っているらしく太刀打ちできない紗南だったが、逆に羽山のパンツ写真で弱みを握ることに成功し、先生いびりをしないように約束させる。
平和になったものの一匹狼状態の羽山が気になる紗南は、羽山と理解し合いたいと話し合いを求めるが強く拒絶されてしまう。
それでもめげない紗南は羽山のひねくれ具合が、羽山を出産したことで母親が亡くなり家族と険悪な状態のためと知る。
そこでその境遇に似たドラマ出演をする紗南は、羽山の家族にそのドラマを見せて少しずつ家族の歩み寄りをすることに成功する。
自分を救ってくれた紗南にほのかに恋心を抱く羽山は、紗南のマネージャーの玲や、クラスメイトの剛などのライバルを退けるが、当の紗南は鈍すぎて全く気付かない。
そんな中小さい頃の紗南を知る謎の美少年加村直澄が登場。更に苛立つ羽山だが元気のない紗南に一人気づき、泣きたくなったら俺の所に来いと紗南に伝える。
紗南は実は捨て子で今の母親の倉田実紗子とは全く血の繋がっていなかった。
本当の母親を探す為に実紗子がエッセイを出版し、紗南の本当の母親が名乗り出る。動揺する紗南を支える羽山。母親と一緒に暮らさないかと持ちかけられるが、紗南は拒否し今までの生活を続ける。
クリスマスパーティの時にキスをするが、羽山と紗南のはっきりとした進展がないまま中学生へ。
そこで羽山の幼稚園時のファーストキスの相手の松井風花が登場。
紗南が長期ロケで不在の間に紗南と直澄の恋人宣言の嘘の記事が世間に出回ってしまい、それを信じた羽山と風花は付き合う事に。
ロケ中に直澄のファンに攻撃を受け怪我を負った紗南は、羽山と風花が付き合っている事実を知り羽山を好きなことに自覚と同時にショックを受ける。
直澄が紗南に告白するが、報われなくても羽山への恋心を貫くと伝えてロケに復帰。
最終日のロケで危うく事故に巻き込まれそうになるが、無事ロケは終了する。
学校へ復帰した紗南だが、芸能人としての自分とクラスメイトの壁を感じ始める。直澄の仕掛けのせいで、紗南は羽山に告白するが風花はそれを目撃してしまう。
羽山も風花と別れる気はなく、紗南は2人と距離をおく為に学校生活より芸能生活を優先する。
その間に羽山はイライラを募らせ停学にもなってしまい昔の荒れた羽山に戻りつつある。
その最中にクラスメイトの小森が羽山への恨み言を書いたノートを残して失踪。
自分の償いをする為に樹海へと一人向かう羽山は、紗南への自分の想いを改めて告白する。
小森の説得に成功するも羽山は左腕に大けがを負ってしまい危篤状態になってしまう。羽山を心配してテレビの生番組をドタキャンした紗南は、これをきっかけに芸能活動のスピードを緩める。
羽山と風花の別れを経て、紗南と羽山は恋人同士に。浮かれる紗南だが羽山がアメリカへ家族と共に行く事になってしまう。
それを知ってショックを受けた紗南は表情が出ない人形病になってしまう。周りの協力を求めつつも一向に改善しない紗南。
しかし紗南だけではない、離れ離れは自分だって辛いと泣きながら怒る羽山に、紗南は寂しいのは自分だけではないことを知り、表情が戻り元の紗南に無事戻ることが出来た。
数年後無事手術を終えて一時の帰国した羽山と紗南は、お互いの大切さを確認し共に生きることを改めて決意する。
クラスの問題の元凶のボス羽山に立ち向かうかっこよすぎの紗南
紗南の大人っぽさにはびっくりですね~これで小学校6年生とは…玲君に同意見。羽山の先生や女子へのいじめぶりはかなりきついので、読んでいてむかむかくるほどです。
紗南のおバカな明るさが救いですね!
羽山にはあんなに腹立ったのにあの荒んだ家庭環境を知ると、一気にああ~これじゃやさぐれるのは無理ないなと思ってしまいます。それでもやってはいけないことですが。
羽山のひねくれ具合は筋金入りで全くもって可愛くないけど(笑)、今読むと結構言動に共感できるんですよね…私も捻くれてるから。
かなりきつい事を言われたのにめげない紗南のメンタルの強さに本当脱帽です。
羽山の家庭環境の改善を自分の主演のドラマを見てもらう、芸能人ならではの解決が凄くいいです!
羽山とのお母さんごっこも笑いました~。お父さんが迎えに来てくれた時、羽山の驚いた顔と肩に担がれた時の表情が印象的でしたね。
羽山の紗南への不器用な恋心…ライバル撃破!
ひねくれていた自分をあそこまで寄り添って助けてくれた紗南へ当然惚れますよね!(^O^)
しかし紗南の周りはライバルが2人!玲君と剛君を見事に退けた羽山君はさすが抜かりないです。
1巻であれだけ敵視していたのに、突然紗南にキスしたりと行動力が並じゃない羽山。
そして紗南の鈍感ぶりも並じゃないです(笑)
羽山を退けた紗南さえも擦れ違いでクラスの女子の標的にあっさりなってしまうのが怖いですね~…。羽山の怒りと紗南の再度の謝罪で仲直り出来たけど、人間関係の怖さがリアルすぎです。
謎の美少年直澄君の正体は?複雑な三角関係のまま遠足へ
好きな女の子が圧倒的に稼いでいて輝いているのは男の子としては面白くないですよね、まして羽山君タイプは。
そんな中で紗南と同じような立場の直澄君の登場で、ますますイラだつ羽山が空手を!
結構空手着が似合ってますね~。あれだけ鈍感なヒロインなので、羽山と直澄の三角関係もどうなる事やら。
紗南はなにか悩み事があり恋愛どころではない様子。遠足でのバスの中で元気のない紗南の様子を察した羽山がさすがですね!
そして羽山が紗南へ伝えたセリフが確かにキザ!!キザだけどいいなぁ~あんなこと言われてみたいですっ!
笑顔になった紗南を見られて余程嬉しかったんでしょうね。紗南に思いっきりからかわれたけど羽山の悪意のない(笑)笑顔が正面から見たかったです。
紗南の出生の秘密
紗南は捨て子だったんですね…!これには驚きました。記者団に囲まれ、玲と実紗子も険悪になってしまう中で、羽山が泣いている紗南を連れ出します。
紗南に変わらずに接する羽山家族もいいですね~。羽山だけではなく直澄も自分なりに紗南を守る姿にほろり。
そんな中本当の母親登場で紗南にそっくりで若いです。
紗南は3月7日生まれだから紗南なんですね~成程。シリアスなストーリーにも笑いを忘れない雰囲気が流石です。でも遊園地で母親との別れの時の紗南のセリフがギュッときました…。
小学校卒業、中学校入学で羽山の幼稚園時の知り合い風花登場
クリスマスパーティーで2人きりを想像していた羽山、大人だ(笑)キスをしても未だに気づかない鈍感ヒロインの紗南。あれだけはっきりしているのにいつ気づくんだろう…。羽山も大変ですね~。
波乱の小学校時代を経ていよいよ中学校へ。あまりに大人だからまだ中学校?って感じですが。
そこで風花が登場!幼稚園のファーストキスの真相が酷すぎる…。紗南と似ていてもしっかり者だったりと少しずつ紗南と違う風花がどう絡んでくるのか楽しみですね。
紗南の長期ロケにより少しのお別れの間にそれぞれの交錯する想い
長期ロケの前の遠足では羽山の不器用な優しさと、紗南の羽山への複雑な想いが見られましたね~。
鈍すぎっとしか思えない紗南も玲君とのごたごたからのトラウマや、恋心をどう意識すればいいのか分からないという言葉には思わず納得です。
いよいよ長期ロケで羽山と紗南のしばしのお別れ。その最中に羽山が風花の彼氏のふりをするイベントが。
この時点では風花は羽山を友達との認識だったけど、恋人宣言の記事をきっかけに付き合ってしまうのは仕方ないけどショック…。
それを大怪我を押して頑張っている最中に知ってしまった紗南にはとても切なかった…。その落ち込みを元気回復させた母の実紗子は流石です!
直澄君も当て馬ポジションでとても切ない立場になってしまい、このロケは色々きつい展開でしたね。
記事をうのみにしてしまうファンと言うのも風刺がきいていてかなり恐怖でした。
芸能人としての壁。そしてついに紗南が羽山に想いを伝える?
恋人宣言記事を信じてしまった友達の気持ちも分かりますね~、マスコミの洗脳って凄いですから。中学時代は紗南の芸能人としての生活が更に壁になってしまいます。
その悩みを聞かされた直澄君は気の毒だけどきちんと聞いてくれる…毒舌入ってるけど優しいなぁ。
その直澄君、紗南の為とはいえ全国ネットで紗南の片想い相手が羽山のことを言ってしまうし!それは紗南も羽山も驚くわ~!!
そしてついに、ようやく紗南が羽山へ告白するも風花がそれを聞いてしまったり、時間が経ちすぎていたりとタイミング最悪状態。
紗南の言ってくれなければ分からないと言うのも、羽山のあれだけしてわからないのがおかしいと言うのもどっちも正しいんですよね…。
クラスメイトの失踪事件!クラスメイトの行方と羽山と紗南の関係はどうなる?
紗南から別れを告げられた為にどんどん昔の羽山に壊れて荒んでいく姿がもう辛すぎる…。
そんな中でクラスメイトの失踪事件は、羽山の荒れていた過去を暴かれたりとものすごく重い展開に。
千石はすごーく腹立つけど羽山に犯罪者と言ったことは間違ってはいないんですよね…。樹海での小森との会話もよくりぼんでこれ書けたなぁ…と言う位の展開です。
今読んでもかなり重いです。
羽山の手術中に待っている紗南たちと大人との会話もね、うん、身に沁みます。
小森の母親みたいな親は沢山いると思うし、小森のような人も全然いると思います。
小森を救えなかったと悩む羽山へ、あっけらかんとプラス思考な紗南が凄くいいですね。やっぱり羽山には紗南でないとダメなんだなぁと改めて思いました。
小森の事件がひと段落後、羽山と紗南は改めて恋人どおしに。花を散らし目をキラキラさて浮かれまくる紗南に爆笑!
しっかしやはり千石が腹立つ~~~っ!!ヅラは確かに気の毒だけど(+_+)でも本当紗南にあえて良かったね羽山。こんなこと言われる紗南が羨ましいです~(^O^)
羽山とお別れ?紗南が心の病気に…
羽山が外国へ行ってしまうのにも驚きましたが、紗南から表情がなくなるとこんなになってしまうんだということに本当に驚きました。置いてかれる恐怖は出生のトラウマからの恐怖と言うのも分かる気がします。
紗南を励まして羽山に協力する直澄君…本当いい子だなあ…ほろり。
心の病気が珍しくない現代では人形病と言う描写は突拍子ないことではない点がまた現実に沿ってますね、これをもう20年も前の作品で既に描写されていたことに驚きます。
心の傷の解決策はいろいろあるけどとにかく無理をさせない、頑張らせない。これも今ではかなりの認知度ですが、最後に羽山が一緒に泣いてくれた、自分と同じ想いだということを知ることが大切と教えてくれました。
人形病の描写は元気なヒロインが病んでしまうので賛否両論だったと思いますが、この描写があったからこそ紗南をもっと好きになりました。
それまでの紗南も好きですが、やはり憧れが強かったので、このことで紗南も一人になる事が怖い、普通の人、女の子なんだなぁと思えたので。
羽山の左腕の治療もかねて紗南と一時のお別れに。お別れの時に見せた羽山の笑顔がっ!!
ラストでは重い描写もありつつも皆それぞれ前を向いている、明るいラストのこどちゃらしいラストでとても良かったです。
こどものおもちゃ 全10巻のまとめ
もう20年も前の作品なのに今読んでも全く色褪せない少女漫画です。
少女漫画と言っていいのかと言う位の暗いテーマを、いじめや捨て子、償いや人形病など容赦なく描いているからこそ年代問わず愛され読まれる作品なんだなぁと思います。よく当時のりぼんで連載できたなぁと思いますよ。
10巻と言うちょうどいい巻数で全てを描ききり、シリアスとギャグのバランスも秀逸な作品。少女漫画と敬遠せず是非読んでもらいたい作品です。