十二国記白銀の墟 玄の月 ネタバレ!あらすじと感想とまとめ

日常
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18年を経ての長編で戴国編完結の十二国記の新刊全4巻を読み終わりました!読み終わっての感想を思いつくまま一気に書いていきます~。完全にネタバレなので未読の方はご注意くださいね。

 

引用元:Robert KarkowskiによるPixabayからの画像

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白銀の墟 玄の月(全4巻)あらすじ

戴国へ6年ぶりに帰還した泰麒と李斎。暗器の達人である項梁や道士の去思たちを仲間にし、戴の球場を直面しながら旅を続ける。

 

驍宗の行方を李斎たちに任せて、泰麒は戴麒麟としての役目を果たす為に白圭宮へ乗り込み、阿選と対峙する。しかし驍宗から王位を奪ってからも政の関心なく戴を放置する阿選。彼に新王阿選を提示し麒麟の証明を示す。

 

傀儡が徘徊する王宮。一方函養山から脱出した驍宗はついに李斎たちと再会する。

諸国の支援を得る為に李斎たちは驍宗を連れて戴脱出を試みるが…。

 

 

泰麒の悲痛の成長が切ない

何度も蓬莱と戴の行き来を繰り返し、麒麟の力を失いながらも台輔として李斎と共に戴国へ帰還した泰麒。

 

もうね、泰麒の悲痛な覚悟が切なすぎます…。麒麟は慈愛に満ちて争いや流血を好まない生き物なのに、泰を救う為とはいえことごとくそれに反する行為や言動をする泰麒。泰の窮状をこの目で見るうちに驍宗様がいない以上自分でできる役目を何とか果たそうと必死な泰麒の姿が…。

 

あんなに純真無垢だった泰麒が近しい存在の李斎さえも別行動するまでは阿選の手のものかもしれないと疑わざるをえなかった心境を思うと…。

そして最期に驍宗様を救える手立てはないとなり、驍宗様の元へ行く時に次々と護衛たちを殺生する姿…。

 

泰麒の麒麟らしからぬ言動や行動の度に体が傷ついたり弱ったりと本当に辛辣だった泰麒。蓬山でせめてゆっくりと療養してから驍宗様をサポートしながら戴国をよい国に導いてほしいです。

 

 

憎み切れない悪役の阿選がまた切ない

戴国を窮状に追いやったラスボス阿選ですが正直憎み切れない敵なんですよね…。天への真意を測る!のような大仰な動機ではなく、驍宗様への嫉妬やこれからの絶望からだった阿選。

 

3巻から阿選の心情や動機などが随所に描かれているのですが。圧倒的に凄すぎる驍宗様とずっと比べられる存在とはきついものがありますし、そこがとてもリアルでもあります。驍宗様は光り輝く光の存在とすると、自分は驍宗様と匹敵する優秀な存在であっても所詮は驍宗様の影。どんなに努力しても結局は驍宗様を超えられない絶望さから凶行にはしってしまった…。

 

誰にでも起こりうる動機だからこそやり切れないんですよね…。驍宗様とは全く別の存在として泰を導いたり、陰の存在として割り切れるのだったら良かったんでしょうけど、驍宗様とずっと張り合ってしまった阿選の不器用さが…。第三者から見るとなんでそうなる!と思うんですが、いざ自分だったら阿選のように思ってしまうんだろうなぁという重さがなんとも言えないやりきれなさ。

 

とどめは阿選にはちゃんと彼を慕っていた部下が沢山居たことです。正直実際に阿選がいたら私も懐きます(笑)だって嬉しいと思いますよ~自分に特化した能力がないのにそこを褒められたりしたら。

 

戴国を放棄している阿選を最後まで信じていた部下たちの心情…。ただ阿選の部下たちは驍宗様の部下と違い、表だって阿選に忠告せず阿選からの指示を守り素直に従ったことが裏目に出てしまいました。だから本当は部下も阿選を慕っていたのに彼には思いが通じず、非業な最期や阿選から離れていってしまった…。

 

特に阿選から見放されてしまった…と想い、ようやく自分へ授かった指示が傀儡化で、驍宗様を死なすなと言う言葉に従い驍宗様を守り、阿選に喜んでくれることを願いながら亡くなった帰泉がね…。悲しすぎる…。

 

阿選は、本人は決して悪い人ではなかった。周りに気にかけてくれる人がいたけど信じられなかった。そそのかしたり陥れる人達の声を聴いてしまった所など、華胥の幽夢の砥尚に通じるものがありますね。

 

烏衡のような最低の屑だったら良かったのに。そしたらあっさり阿選を驍宗様たちで倒して爽快感あるラストだったのに、そうならないのが十二国記らしいなと思います。

 

 

琅燦や案作のお咎めなし?にもやもやする

琅燦は泰麒が小さい頃に一人だけ泰麒を幼子扱いせずに泰麒へ忠告したところなどクールな感じが好きだったんですけど、今巻ではなんてことしてくれたんだ!となってしまいました。

 

黄朱として国や王に興味がないことは分かります。誰もが国や王に素直に従うわけではないし、国とかの想いとかも人それぞれですし、図南の翼の黄朱の発言からも納得です。だけど自分の興味の為に阿選をことごとくけしかけて酷い言葉を連続し、泰麒は化け物呼ばわりでへらへらしている姿にはどうしても嫌いになってしまいとても残念…。

 

泰麒が彼女を敵ではないと言ったことにも疑問なんですよね…。う~ん、彼女自身をもっと掘り下げられていたらまた違う見方だったかもしれません。

あと地味に腹立つのが案作です。身勝手な小物の上司の張運の尻拭いまでは同情していたんですが、最後に阿選に驍宗様の処刑の時に民の憎悪や悲痛を利用するようにそそのかすとは…。

 

琅燦と同様けしかけた本人はお咎めなし(後々その後が明かされるかもしれないけど)には、ある意味リアルで悶々とします。結局悪いこと全部押し付けられてしまった阿選…。

 

 

民視点で掘り下げられていてリアルなファンタジー小説

全4巻ですが王や麒麟側より民視線の描写の割合が多かったですね。特にそれぞれの村の窮状により荒みきっていく心や土匪や権力者たちの横暴や快楽に巻き込まれてなくなっていく民たち。そして土匪たちを思いっきりこき下ろした後に、土匪の首領格の朽桟の過去等が語られて追い込まれて悪いことをせずに生きられる方法を教えてくれと言うのもよく分かってしまう…。

 

そして村人の荒んだ心で更に王たちの状況は悪化するというのも…。閉塞感が屍鬼の雰囲気に近い物がありますね。

民視線が多く特に1巻と2巻にページ数を多く割いていますが、個々の民の窮状描写があってこその戴国編でもあると思うので必要不可欠な部分と思います。

 

 

後半戦にもう少しページが欲しかったから短編集にかすかな期待

とにかく戴国編が終わって良かったのですが、やはりクライマックスがあっけない感が否めないんですよね。驍宗様の処刑場シーンから泰麒たちの反乱などは書かれているし、驍宗様と泰麒の再会シーンも描かれてはいます。

 

ですがその後に驍宗様側の仲間たちが実は生存していて一気に登場するシーンが多すぎて、嬉しくはあるのにいきなりすぎて正直生きていた!と言われても登場人物が多いので誰が誰だっったっけ状態で感動が薄れてしまったというのが正直なところ。望んでいた花影と李斎の再会シーンもあっさりだし…。すごーく少ない登場の割に存在感と人気半端ない英章が変らずいいとこどりなのが(笑)

 

あとオアシスな正頼お爺ちゃんが厳しい拷問を長年受けていたのにオアシスなままなところが数少ない救いのひとつで良かったです。

 

民目線も好きだけどやはりもう少し驍宗様側の描写が欲しかったなぁ…。なので次の短編集に入れてほしいのですが、多分丕緒の鳥のように民目線の話が多いのではないかなと思っています。

できれば陽子と景麒が戴国を訪問するところなどほんわかとする話が読みたいです^^

 

 

まとめ

色々書きましたがまずは十二国記戴編が完結してほっとしました。リアタイではないけどゆうに15年は越していたので、李斎と泰麒のその後と戴国の行末がずっと気になりもしかして未完のままかなぁと覚悟していたので。小野先生本当にお疲れ様でした。

 

ところで今回の登場人物全員分かる人凄い…と思うくらいの人物数でしたね。続きが気になって仕方なく結構なすっ飛ばし読みをした上、理解力低下の為にストーリーを追い切れていない可能性大なので、また再読しようと思います。何度も読み返すには辛い内容の十二国記ですがやはり面白いです。

 

もう十二国記の長編は書かれないとのことなので残念ですが、短編でちょこちょこと他の国などの話がいつか読めたらいいなぁと思っています。

 

 

 

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